実例:30代男性 肩が上がらない、という元同僚

前に私が勤務していた職場で介護職をしている男性職員の人から、
 
「肩が上がらずに困っている」
 
と相談がありました。
 
聞くと、もう20代の時からバンザイができない状態であるとのこと。
 
病院ではレントゲンやMRIでも異常は見られず、整骨院や整体でも思うような改善はなかったそうです。
 
最近はいつも肩が重く、介護の仕事も何とかこなしているという状態だったとか。
 

まずは現状を確認

実際にバンザイをしてもらうと、なんと自分の目線ぐらいまでしか両手が上がりません。
 
しかも両肩の僧帽筋(いわゆる肩こりが起こる辺り)がとにかく重くてだるいとのこと。
 
姿勢を見ると、なで肩で胸郭の盛り上がりが少なく、なんだか元気がなさそうな姿勢です。
 
腰は反るでもなく丸いわけでもないですが、骨盤が前に出てお腹もポッコリと膨らんでいます。(本人の名誉のために加えると、この方は決して太っているわけではなく、むしろやせ気味です)
 
対して頭は前に突き出ている状態です。
 
試しに体幹を動かしてもらうと、前に曲げるのは容易ですが、後ろには殆んど反れません。
 
横に曲げるのや捻るのは、特に右がつらいとのこと。
 
正に「バランスがわるい」状態です。
 
うーん、しんどそう。
 
この状態で気付いたのは
 

・骨盤が後傾してお尻が下がっている
 
・脊柱のS字カーブが損なわれ、フラットになっている
 
・腹腔内で内臓が下垂気味になってお腹が膨らんでいるが、胸郭は肋骨が引き下がって平たく潰れている
 
・肩甲骨は前に引き出され、胸椎部は上半分で急に前に曲がっている
 
・頸椎は湾曲がなくフラットな状態で前に傾き、頭蓋骨だけが前を向くために持ち上がっている

 
ざっくりとこんな感じでしょうか。
 
解剖学的な見方をすると、
 

・臀部筋群(特に大殿筋)の弱化による骨盤後方の下制
 
・骨盤後傾による腰椎前弯の消失と、それに伴う大腰筋の短縮
 
・大腰筋と連結を持つ横隔膜が引き下げられて胸郭が下制し、肋骨が寝ることで胸郭がフラット化
 
・ここまで後方に傾斜した脊柱に対して、頭部の重みのバランスをとるために、上部胸椎で急に前方へカーブ
 
・骨盤内の重心位置に合わせるところまで頭部が前方化し、前を向くために環椎後頭関節で頭部を伸展
 
・胸郭のフラット化で縮んだ大胸筋により肩甲骨が外転・下制し、僧帽筋は引き伸ばされながら
 
 前方化した頭部を支えるのも相まって、不自然な状態で働くのを余儀なくされていた
 
・結果、肩甲骨は胸郭に不自然な位置で固定されて上肢の挙上が妨げられ、無理に挙げようとすると過剰に収縮しパンパンに張ってしまう

 
専門用語が多いですが、こんなところだと推察しました。
 

どんな施術をするか?

施術としては、
 

①骨盤を後傾させる筋群を緩める
②胸郭を引き下げる大腰筋を緩める
③骨盤を引き上げるために大腿四頭筋と大殿筋の促通

 
で、無事上肢を頭上まで挙上ができるようになりました。
 
ダメ押しでで足部アーチを保持するアシストをすると腰が伸びて耳の後ろまで腕が上がりましたので、
 
足部アーチの機能低下がベースとして存在していた可能性が示唆されます。(アーチ落下⇒膝の開排と屈曲⇒骨盤の後退・後傾・・・)

腰の横曲げや捻りで痛みが出た右下肢の方が、足は平たくなっていました。
 
〆として、足底筋群のエクササイズを指導して、ひとまず本日の施術を終了し。経過観察としました。
 
後日変化や気付いた点があったら追記しようと思います。

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