寝違えは腋窩神経麻痺? その①

先日、外来リハで働いている後輩くんから次のような話がありました。
 
「首の寝違えは腋窩神経(ワキの下の神経)の異常で起きる。治療は絞扼(しめつけ)の解放を行えばよい」
 
なんでも元は医療系の漫画が初出らしく、結構有名な話だとか。
 
理論としては、
 

①腋窩神経は首を支える筋肉を支配するため、この神経が障害されると首の異常が起こる
 
②腋窩神経の絞扼ポイントである腋窩三角の筋を緩めることで神経を解放し、症状が軽減される

 
とのこと。
 
本人からの話と、インターネットで調べたところによれば、方法は以下の通りのようです。
 

・リラックスして手をダラーっと下げる。
 
・首の痛む側の手をゆっくり後ろに、自然に止まるところまで引き上げる。
 
・止まったところで、20秒数える。
 
・次に肘を110度に曲げた(鈍角)状態から前方に上げていく。おそらく、真上まで上がる。
 
・その状態で20秒。
 
・以上を3セットほどすれば、神経が開放されて首が動かせる。重症な人はさらに2~3セット続ける。

 
実際に首の痛みで来た人をこの方法で痛みを半分まで減らせたと、後輩くんは少し興奮気味に話してくれました。(但し、痛みは半減から足踏み状態である。とも言っていました)
 
しかし私はこの話を聞いて、頭の中で「?」が渦巻いていました。
 
腋窩神経の支配筋が首を支配している?
神経の麻痺で筋機能障害が出て、痛みが出る?
 
ちょっと話がおかしい。
 

腋窩神経って、どんなもの?

ここで腋窩神経についてみてみましょう。
 

・腋窩神経は腕神経叢から出る上腕部に走行する末梢神経で、上肢の背側を走行し、上腕部で、停止する。
 
・腕神経叢は第5頚神経~第1胸神経の前枝から構成されており、その中で腋窩神経は主にC5、C6に由来する。
 
・腋窩神経の通り道で、上腕骨・上腕三頭筋長頭・大円筋・小円筋で囲まれた部分があり、この個所は「腋窩三角」と呼ばれるチョークポイントで、神経線維の圧迫を生じやすい。
 
・腋窩神経の支配筋は三角筋・小円筋で、感覚支配領域は肩の外側(ほぼ三角筋の全域)である。

 
腋窩神経は圧迫を受けることにより、「腋窩神経麻痺」が生じます。
 
主な症状は支配筋である三角筋・小円筋の麻痺による肩の挙上困難と、
 
感覚支配領域である肩の外側部の近く鈍麻・脱失です。
 
そうです。腋窩神経が麻痺しても、首に関わる筋や感覚は異常はきたさないのです。
 
なぜなら、腋窩神経の支配を受ける筋は腕(上腕骨)を動かす筋であり、知覚的にもその支配領域は肩とは離れたところにあるからです。
 
ではなぜ、上記の方法で症状が軽減したのでしょうか?
 
長くなりましたので、この現象についての見解は次の記事で述べようと思います。

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