実例:30歳スポーツマン、肩の痛みで悩む

スポーツをバリバリでこなしている人にも、意外なところで身体機能の低下があることがあります。以前、そんな人を見る機会がありました。
 
趣味のフットサルは週に3日練習に参加し、それ以外にもジムに週2日通って全身を鍛えているというTさん。スポーツをしているときは特に気になることはないのですが、椅子から立ち上がるときに腰が痛むと相談がありました。
 
普段からスポーツで鍛えているお陰か、腰の痛みは骨盤帯と大腿部の筋のを緩めていくことでであっさり取れたのですが、その後に「実は肩が痛くて困っている」と言われました。
 

肩の動きを確認してみると・・・

試しに腕を挙げてもらうと、体の外側に挙げていく動作(いわゆる上肢の外転動作)で痛みが出ました。
 
厳密に言うと上げるときはそれほどでもなかったのですが、挙げた腕を下ろそうとすると強い痛みで顔をしかめます。
 
腕の痛みは立っていても寝ていても同じでしたので、肩関節腱板部の筋機能不全は候補から外れます。
 
挙げるときは痛みは少なく、下げるときに痛みが強いことを考えると、肩甲骨の挙上は問題はないようです。
 
痛みは肩の外側、いわゆる三角筋の外側部なので、液化神経由来の痛みと思われます。
 
以上の点から、何らかの原因で肩甲骨が挙上・上方回旋位に偏位し、腋窩後壁の筋が神経を絞扼していると考えました。
 
試しに仰向けで膝を痛みの出る左肩とは逆の右側に倒しながら腕の上げ下げを行ってもらうと、痛みは相当に軽減しました。
 
となると、右大殿筋の弛緩⇒胸背腱膜を介した左広背筋の緊張の低減⇒左肩甲骨のフリー化、が推察されます。
 
そこで大殿筋のマッサージをしたのですが…これが手ごわい。
 
どうにも緩んでくれません。
 
そこで大殿筋と関連の深い小殿筋を指圧したところ、のたうち回るほどの痛みが出ました。
 
それからは、ゆっくりと小殿筋をリリースしたことで、腕の上げ下げの痛みもほぼ消滅しました。
 

スポーツマン、なぜこうなった?

しかし、週に5日も運動するスポーツマンの彼が、なぜこのように状態になったのでしょうか?
 
普段の仕事の様子を聞くと、パソコンの作業が多く、仕事の後はどうしても腰がつらいとのこと。
 
さらに、施術前の彼の姿勢は立っていても座っていても頭が前に突き出ていました。
 
そう、結局パソコンを長時間のぞき込む姿勢が日常的に長いことで骨盤帯、特に臀部の機能不全をきたしていたのでした。
 
それにしても、この件で考えさせられるのが、単純な筋力訓練の限界です。
 
普通姿勢をよくするためには、腹筋や背筋のトレーニングや、インナーマッスルと呼ばれる腹横筋・横隔膜のトレーニングが思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。
 
しかし今回見たTさんは、当然それらのトレーニングもみっちりとおこなっていました。
 
にもかかわらず、症状は改善せず、むしろ悪化していたのです。
 
結局のところ、普段の生活様式や習慣化した身体操作を無視して筋力を強化して対処しようとすることは、改善につながらないばかりか不良な身体操作を助長しかねないリスクもあるということが考えられます。
 
今回は施術家としても、改めて日常的な身体操作の指導が重要であると感じました。これは日々の施術でも取り入れていきたいと考えています。

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