頭痛について ~危険な頭痛~

これまで頭痛についての記事を書いてきましたが、シリーズ最後の今回は緊急性の高い危険な頭痛について書いていこうと思います。
 
最後ではありますが、とても大切なことですので、他の記事は良く分からないという方も、今回の記事だけでもしっかりと頭に入れていただければと思います。
 

危険な頭痛を判断する

さて、危険な頭痛とそうではない頭痛を区別するときに重要なのは何でしょうか。
 
それはズバリ「いつもと違う」ということです。
 
いつもと違う痛みである、いつもはない症状が一緒に出ている、というときは要注意ということになります。下に簡単にまとめておきます。
 
【危険な頭痛の兆候】
 ・今までにない強い頭痛
 ・突然の激しい頭痛
 ・痛みが急に強くなる
 ・回を重ねるごとに痛みが徐々に強くなる
 ・発熱を伴う頭痛
 ・手足のしびれがある
 ・けいれんを伴う
 ・意識がもうろうとなる
 ・視覚や記憶、手足の麻痺など痛み以外の異常が出てくる
 
これらの「いつもと違う頭痛」の場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
 

危険な頭痛の種類

それでは、頭痛を伴う危険な疾患のうち、主要なものについてみていきます。重要な点は強調してあるので、この部分だけでも覚えておいてください。
 
①くも膜下出血

突然の激しい頭痛でまず疑われる病気が、「くも膜下出血」です。たいてい「後頭部に雷が落ちたような」とか「バットで殴られたような」などと表現される今までに経験したことのないような頭痛におそわれますが、出血のしかたや程度によって、頭痛の感じ方、あらわれ方は異なります。
 
出血がひどい場合は、激しい頭痛に嘔吐(おうと)、けいれん発作などを伴い、意識を失うこともあります。数秒から数時間で意識は回復しますが、なかにはこん睡状態に陥り、そのまま死に至ることもあります。出血が少ない場合は、首の付け根からうなじのあたりにかけて痛みを感じたり、首すじが硬直したりします。また、頭痛というより、ひどい肩こりを感じるケースもみられます。
 
くも膜下出血では、大出血の数日~数週間前に、脳動脈瘤から少量の出血が起こることがあり、このときにも頭痛が起こります。これまで経験したことのない、雷が落ちたような激しい痛みがあらわれたときや、「何かおかしいな」と感じたときは、脳神経外科での一刻も早い処置が必要です。

 
②脳出血

脳出血は、脳の動脈が破れて脳の中に出血し、血液のかたまりができて脳を内側から圧迫するために頭痛を起こします。
 
頭蓋骨という脳を入れる器の中に血腫という異物が発生するのがくも膜下出血で、脳出血は脳実質そのものに血腫という異物が発生することになります。この違いがくも膜下出血との症状の違いの元になります。
 
頭痛は徐々にひどくなり、なかには吐き気や嘔吐を伴うケースもあります。また、頭を非常に重く感じることもあります。
 
麻痺やしびれなどの神経症状を伴い、手足がしびれてうまく動かせない、ろれつがまわらない、物が二重に見えるといった症状がみられるときは、脳出血の可能性が高いといえるでしょう。必ず早急に医師の診察を受けましょう。

 
③感染症(髄膜炎)

後頭部が強く痛んで首すじが硬直し、吐き気や嘔吐、38~39℃の高熱を伴う場合は、くも膜や軟膜の炎症による髄膜炎が疑われます。髄膜炎の頭痛は、体を動かしたり、頭を振ったりすると痛みが強まる点も特徴です。
 
ウイルスの感染によるウイルス性髄膜炎は、自然に治ることが多いのでさほど心配はありませんが、細菌の感染による細菌性髄膜炎は、治療が遅れると死に至るケースもみられるので、高熱を伴う強い頭痛が起こったときは細菌性髄膜炎を疑って、早急に医師の診察を受けることが大切です。

 
④脳腫瘍

頭全体あるいは一部に圧迫感や頭重感、鈍痛が続き、突然吐いたり、けいれん発作に襲われるようなときは、脳腫瘍が疑われます。脳腫瘍による頭痛は、腫瘍のために脳内の圧力が高まることで起こりますが、とくに朝方の起床時に強い頭痛で、起床後しばらくすると軽減するケースが多いようです。
 
腫瘍の大きさが増すにつれて、常に痛みや頭重感を覚えるようになり、頭痛が日を追うごとにひどくなっていきます。
 
腫瘍のできた脳の部位によって、頭痛以外にもさまざまな症状があらわれます。たとえば、視力が低下する、視野が狭くなる、物が二重に見えるといった視力障害や、手足に力が入らない、動かせないといった運動麻痺(まひ)、あるいは耳鳴りやめまいが生じることもあります。こういった神経症状がある場合は、早急に医師の診断を受けることが大切です。

 
⑤脳動脈解離

動脈の壁は、内側から内膜、中膜、外膜の三層構造をしており、このうち内膜に亀裂が生じてそこから血液が入り込み、動脈の壁が裂けてしまうことを動脈解離といいます。
 
脳動脈解離は、交通事故などの外傷後に起こる場合もあれば、格闘技などのスポーツや日常生活で何気なく首をひねったり伸ばしたりしただけでも起こることがあります。
 
脳動脈解離が起こると、うなじから後頭部にかけて急に痛くなり、血管にこぶ(解離性脳動脈瘤)ができたり、血管の中が狭くなったりします。痛みが生じた数日以内に、脳卒中(こぶが破れるとくも膜下出血、血管が詰まると脳梗塞)を引き起こすことがあるので、気になる症状がある場合は、早急に医師の診察を受けましょう。

 
⑥慢性硬膜下血腫

頭をぶつけた後などに、頭蓋骨の内側にある脳を覆う硬膜とくも膜の間にじわじわと出血が起き、血のかたまりができた状態が慢性硬膜下血腫です。
 
小さいうちは無症状ですが、血液の量が増えて、血腫が大きくなると脳を圧迫し、外傷後1ヵ月頃から痛みがじわじわ拡がり、徐々にひどくなります。歩行障害、手足の麻痺、物忘れなどの認知機能障害もあらわれます。首を振ると痛みがひどくなるのも特徴です。
 

頭にそれほど強い外傷を受けなくても起こることがあり、酔っ払っていると頭を打ったことを覚えていないことも多いため、気になる症状がある場合は、早急に医師の診察を受けましょう
 

危険な頭痛が、まずは必ず病院へ

危険な頭痛と一言に言っても決して少なくはありません。
 
こと細かく覚えるのは大変かもしれませんが、少なくとも頭の痛み以外の症状がある場合は、まず専門の医療機関を受診するようにしてください。
 
こうした頭痛の中には命の危険が迫っていたり、仮に生還できたとしても、その後は重い後遺症が残るケースの少なくありません。
 
私が病院で勤務していたときも、たかが頭痛と軽く見ていたために、その後の障害でご本人やご家族がとても大変な思いや悲しい思いをされている光景を何度も見てきました。
 
検査というと大げさな気がして気が引ける方も多いと思いますが、検査なんていうものは何もなければそれが一番いいのです。仮に何の病気も見つからなかったとしても、何も恥ずかしがったり気にすることはありません。
 
少しでも気になる症状があれば躊躇せずすぐに受診していただきますよう、心からお願いしたいと思います。

連絡先

連絡先