ゴルフ愛好家の方に起きやすい故障

当院には中高年の方が身体の故障でいらっしゃることが多いのですが、日々の施術でお身体を拝見させていただいている中で、ある傾向が気になっていました。
 
それは、ゴルフ愛好家の方がとても多いこと。そして、その故障には一定の傾向があることです。
 
現在のところ、施術させていただいているゴルフ愛好家の方はその殆んどが、腰痛と一緒に左のお尻や太ももの痛みを訴えられているのです。
 
因みに当院にいらしたゴルフ愛好家の方々は、ほぼ例外なく右利きでショットを打つ方向もオーソドックスです。
 
私は、ショットを打つ際のテイクバック、即ちクラブを振り上げた溜めの姿勢に問題があるのではないかと考えています。
 
下の図は、クラブを振り上げた溜めの姿勢です。
 
ゴルフ
 

クラブを振り上げた側はストレッチされ、逆の身体半身は強く引き絞っているのが分かります。
 
このときの捩じり、引き絞る動作の主要な力源は、振り上げた側の背筋群と、振り上げ側の反対側の半身の筋肉群です。上の図でいえば、右の背筋群と左体側面の前鋸筋・大胸筋・腹斜筋・殿筋群・外側広筋で捻じり上げていることになります。
 
このとき、まず骨格に注目してほしいのですが、左側の胸郭~骨盤(腸骨)~大腿骨は、弓がしなるように縮んで引き寄せられます。このことは、左体側面の筋群の距離が縮められていることになります。加えて「溜め」を作るために、距離が縮んだ状態で強く収縮することになります。
 
これらのことから、左の体側面の筋群が著しく短縮し、伸張性を損なっていくことにつながると思われます。
 
上で左の臀部や太ももの症状を訴えることが多いと書きましたが、こうした痛みを生じる原因となっているのは、小殿筋であることが多いです。小殿筋とは股関節の側面に付く筋肉であり、股関節を横に開く働きを持っていますが、この筋肉の線維中に伸張性の失われた部分(トリガーポイント)が発生すると、臀部や大腿部の外側面・後面に痛みを発するようになります。
 
また、上の溜めの姿勢では左の股関節は後ろに伸展し、膝は屈曲することになります。この姿勢では大腿後面の筋であるハムストリングスが短縮し、坐骨を引き下げてしまうので、仙腸関節では仙骨と腸骨の間でギャップが生じることになり、仙腸関節由来の腰部や臀部の痛みを生じることになります。
 
また、仙腸関節の感覚を支配する神経には上殿神経が含まれますが、この神経は中殿筋や小殿筋を支配するため、これらの筋肉の故障につながるという悪循環を生んでしまいがちです。
 
筋肉というものは一定の法則性を持って連結していますので、反復収縮で縮んだ筋群が姿勢・骨格を歪め、さらに筋の短縮・骨格の歪みを強めていく、という悪化のサイクルにつながり、やがて日常生活の姿勢や感覚にまで影響を及ぼしてしまうことになります。
 
ゴルフに限ったことではありませんが、スポーツというのは特定の方向で強い力を出すために、特定の箇所に強い負荷を加えがちでな行為です。私も高校生という成長期の時期に砲丸投げをやっていた影響で、右の下肢や背中は普段からケアを大切にしないと、痛みや鈍重感といった症状が出ることがあります。
 
骨自体の変形は外科的な手法以外での修正はかなり厳しいですが、筋の伸張性低下・短縮は、適切な処置と継続的・日常的なケアを行うことで改善していくことは可能です。
 
力士の新弟子さんが入門して股割りが可能になるまでには、少なくとも2~3ヶ月の期間が必要と聞いたことがあります。
毎日稽古に励むアスリートですら、身体の変化は早々には叶えられないのです。
 
姿勢・骨格の歪みはその方の仕事・趣味・日常生活などの生活歴の積み重ねが、年単位での変化を生じ発生してきます。姿勢が歪んだことで生じる色々な症状で悩んでいらっしゃる方も、一発で改善することを考えるよりも、じっくりとした取り組みが必要であることをご理解いただければと思います。
 
また、治療院での施術のみでなく、日常的・継続的な取り組みが必要であることも、併せてご理解いただければと思います。
 
 
【追記】
こうしたスポーツ由来の故障の場合、今後どのようにスポーツと付き合っていくべきか、と聞かれることも多々あります。
 
個人的な経験則・見解としは、施術の結果がある程度定着するまでの半月~1ヶ月程度は基本的に避けていただき、以降は軽めの運動から様子を見て、基本練習⇒軽めの実践練習⇒本格復帰、といった形で経過を見ながら段階的に復帰するのが良いのではないかと思います。
 
また、故障の原因となった動作を分析し、予防としてのストレッチや、反対方向での技術練習などを行うこともお勧めしています。

連絡先

連絡先