ぎっくり腰・寝違えのメカニズムについての考察

朝夕が冷えるようになってきましたが、こうした季節に増えてくるのが「ぎっくり腰」や「寝違え」のような、何かの拍子に出てしまう急性のきつい痛み症状です。
 
私もこうした症状は何度か経験し、悩まされてきました。
 
非常にメジャーな症状ではあるのですが、意外にもそのメカニズムについてははっきりとした定説はありません。
 
そこで普段の施術や講習会などでの経験や情報から、こうした状態では体に何が起きているのか、どう対処するのかを考えてみたいと思います。
 

ぎっくり腰・寝違いの原因とは

ぎっくり腰や寝違えの原因については、諸説あります。
 
私が見聞きした分だけざっと挙げてみても、
 

・筋原因説
・椎間板原因説
・神経原因説
・関節内及び周囲軟部組織原因説
・ストレス説

 
といった具合です。
 
こうした原因の諸説はそれぞれに提唱した人なりの経験や知見があり、どれが正解とも言えないことが、現場レベルでの混乱の原因とも言えます。
 
ぎっくり腰にせよ、寝違えにせよその名前が表わすのは症状名ですので、人体のどの組織がどのような異常を生じているのかを表すものではありません。
 
病院で診察を受けた方は「急性腰痛症」「急性椎間板症」「急性斜頚」という記載を目にしたことがあるかもしれませんが、これも殆んど症状を言葉にしただけのもので、実際の治療は痛み止めや電気治療、後は筋トレが多いのではないでしょうか。
 
ですので、その症状を表す原因は一つとは限らず、加えてレントゲンや血液検査などの検査にも出てきませんので、その原因を特定するのは意外に難しいと言えます。
 

ぎっくり腰・寝違えの施術は、どうする?

病院以外の徒手療法家がこうした症状を考えるときは、一般的には自分の持つ技術に則して考察することが多いと思います。
 
カイロプラクターであれば椎間板の異常として疑いますし、鍼灸師であればどの経絡や点穴に異常をきたしているという具合でしょうか。
 
ある関節機能に着目した手技を行っている先生は、関節内に組織が嵌まり込んでいるのが原因とおっしゃっていました。
 
私は理学療法士ですので、筋骨格の解剖を基本として症状を考えます。
 
基本的にはどの筋が異常を起こして、結果どの筋や関節にストレスをきたしているのか?、という形で原因を探っていきます。
 
そして痛みの出している組織はどうなっているのか、例えば炎症を起こしているのか?、筋が異常な緊張で血行障害が起きているのか?、痛みのある関節が衝突したり捻じれたりして関節周囲の組織や付近の神経を刺激しているのか?と考えます。
 
こうした推察は問診や触診で治療前にチェックしたり、施術の反応を見ながら行っていくことになります。
 
少し話が脇に逸れましたが、それでは何が原因なのか、という本稿の設問に対しては、
 
「筋の攣縮や椎間関節の機械的ストレス、あるいは筋の微細な損傷が多くの場合を占めているのではないか」
 
というのが私の考えです。
 
これは、色々な先生のアドバイスを受けたり、実際に治療していてそう考えると辻褄が合うことが多かったことからそのように考えるようになりました。
 

もっと具体的に言うと?

普段からの酷使で疲労が溜まったり、気温の低下による血行不良や反射制の筋収縮などの影響で、筋自体が縮みやすい下地ができていたとします。
 
そうした状態で体を動かしていると、ふとした拍子に身体の動きに対して、筋の伸長が追い付かない事態が起きることがあります。
 
筋の伸長が追い付かないと、伸ばされた筋は当然無理に引き伸ばされます。
 
その際に筋線維が引きちぎられるように細かい損傷をきたしたり、あるいは慌てて引き戻そうとして痙攣を起すことで、いわゆる急性の痛みが生じるのではないかということです。
 
あるいは体に合わない寝具を使って寝たり、深酒などで泥酔のまま寝入ってしまうと、寝返りを打ちにくくなり数時間にわたって同じ姿勢で寝ることになります。
 
こうした状態は、不自然な姿勢をとり続けることで、一時的に筋が縮みっぱなしになったり、伸ばされっぱなしになっていることになります。
 
そうして目が覚めたときに覚醒の浅い状態でいつもの調子で起き上がろうとすると、やはり筋に急激な負担がかかり、損傷や痙攣をおこすことになるのです。
 
寝違えを多く経験している人が起き抜けに「寝違えになりそう」という予感がして、そっと首や身体の方向を調整して発症を避けることができた、という話は、この証左だと思います。
 
筋が痙攣すると当然縮こまって伸びなくなるので、祖の筋が関係する関節は圧縮されます。
 
そうなると関節の動きはスムーズにいきませんので、方向などによっては関節にストレスとなり、関節由来の痛みが出ることが考えられます。
 
厄介なのは、こうした痛みが炎症なのかそうでないのかが分かりにくいことです。
 
炎症が確定するには、腫脹・発赤・熱感・疼痛の4兆候が有名ですが、こうした痛みを出している筋群は表面からは触れにくいものも多く、鑑別を困難にしています。
 
それでは、現場でこのような症状に関わるときに、どのように施術していけばよいのでしょうか。
 
この点については、長くなりましたので次の記事で述べていこうと思います。

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